怒りのブドウ(4)
怒りのブドウ(4)
(4)
“いっそのこと、ブドウの抵抗力、自然治癒力はどの程度かを見て、来年に備えたらどうか。
今後のために見ておくのも悪くないか”
私は理科系出身です。
あらゆる情報を集め、それを演繹的に分析し、時には弁証法的に推察するのは得意です。
(意味がよくわかりません。)
結局、ぶどうの自然治癒力にまかせ、うどん粉病菌とどう戦うかを観察することに方針を変えました。
(農作物が放っておいて、病害虫に勝ったなどという話は聞いたことがありません。)
アルコールを使った実験は次の機会に譲ることにしました。
結果、いくらか収穫できたものの、よく見かけるようなまともな姿のブドウはほとんど収穫できませんでした。
うどん粉病恐ろしです。
そして、今年、 近くにカボチャを植えることを禁じ、しばらくは順調に推移していました。
日に日に大きくなる粒を見つめながら、来るべき収穫に対する期待は膨らむばかりです。
ところが、ごく最近になって、あれほど警戒していたのに(ただ見ていただけ)、
またうどん粉病が発生してしまいました。
うどん粉病菌はいったいどこからやってきたのでしょうか。
考えられるのは、
・去年の菌が越冬して残っていた。
・風によって運ばれてきた。
・私がどこからか運んできた。
しかし、
よく見ると、カボチャは植えられていなかったものの、同じウリ科のキュウリが
すぐ近くに植わっているではありませんか。
そして、その葉をみると、やはりあの霜が降りたよいうなあのしろい忌まわしい模様がついていました。
さて、どうするか。
昨年に引き続き、アルコールを試してみるか。
でも、効果は未知数だし、濃度も分からないし、あれこれやってるうちに広がるだろうし、
酢はだめ、重曹もだめ。
四面楚歌だ。
・・・・・ “農薬”
この二文字が頭をよぎりました。
ここまで、無農薬、化学肥料なしでやってきたのにと思いましたが、
今年は、どうしてもまともなブドウが食べたい。
ということで、農薬を使ってみることに決定。
もうこれしかない。
・・・・・・・
奇跡のリンゴという本があります。 映画にもなりました。
その本によると、大事なのは土つくりで、有機質肥料を多量に含んで、
柔らかく地温が一定に保たれるような環境意を作ってやると、
作物の自然治癒力が著しく増すと書いてありました。
しかし、来年は、土つくりをやろうという発想は浮かんできませんでした。