怒りのブドウ(3)
怒りのブドウ(3)
(3)
1パーセントアルコールを散布して、2日たちました。
後変化が見られません。
やはり薄すぎたのでしょうか。
それとも、変化の途中でしょうか。
良くわかりません。 もう一度念入りに散布してみました。
うどん粉病は菌類だから、カビに効いたのなら効くはずです。
問題は、濃度です。
以前干し柿に散布して、カビを撃退した時は、70%のまま使いました。
干し柿は生きている植物ではないので、酔いつぶれる心配はありませんでした。
ブドウは生きた植物です。
死なすわけにはいきません。
ブドウ本体には影響意を与えずに、うどん粉病菌を退治しなくてはなりません。
その後、1週間しても変化が見られないので、濃度を約2パーセントにしてみました。
しかし、やはりまだだめです。一向にうどん粉病の衰える気配がありません。
でも、もう少し様子を見るか、更に濃度を上げるか、考えました。
その間も、一縷の期待をだいて、酢を散布したり、重曹を散布したりもしました。
そうこうしているうちに1週間たち2週間たち、気が付いてみると、ブドウの房はもとより、葉の方にも
相当広がって、さながら霜が降りたようになってしましました。
ここまで広がると、よっぽど強力でないと効かないだろうし、その時はブドウも弱ってしまうだろうと
思われました。
悲嘆にくれながら、ぶどう棚をながめ、大きくため息をつきました。
とその瞬間ふと別の考えが頭をよぎりました。