時間厳守ということ(2)
時間厳守ということ(2)
でも現実はそうはいかない。
だから、やはり時間を気にする。
もし遅れそうなときは時計をわたしに合わせて、
きちんと待ち合わせ時間を守るようにしている。
わたしは、几帳面なのだ。
わたしの友人にわたし以上に時間に厳格なやつがいた。
かれは、約束の時間を厳格に守った。必ず30分遅れてくるのだ。
最初わたしは、そのことに気づかなかった。
あるとき、浅草橋の駅で待ち合わせして鎌倉に行く用事があった。
わたしは、そのときに限って10分遅れていった。
駅に着いたとき彼はまだ来ていなかった。
と思った。
しかし、5分経っても10分経ってもこない。
25分経っても来ない。
おかしい、ひょっとしていつも遅れない私だから、先に行ったと思って、もういってしまったのか、
と思い電車で後を追った。
鎌倉についてみて、あちこち探してみたが着いている様子はない。
そうこうしているうちに1時間経ち、彼が現れた。
「なんで待っていなかったん。」すごい剣幕で怒鳴りつけられた。
事情を話したが、自分のことは棚に上げて、
剣幕はなおらなかった。
彼と付き合っているうちに、毎回遅刻してくることがわかり、
いつもまたされるのでだんだん頭にきて、
別の友人と二人で、
彼にうその20分早い待合せ時間を伝え、
待ち合わせ場所で隠れて待ち、
いつも人を待ったことがない彼を待たせて、
それを観察しようと言うことになった。
わたしたちは、20分遅れて行き、陰からそっと現れるはずだった。
ところが、その時間に行ったら彼はいなかった。
「まだ来ていないのかな。」とも思ったが、
小心者の私達は、「ひょっとして、待った経験がないから、
来て誰もいなかったので、先に行ったと思って
、行ってしまったのかも。」と思い思案していた。
そうこうして10分経つうちに彼が「どうも、お待たせ。」といって現れた。
このときに、彼が30分遅れてくることを知ったのだった。
あとで、彼にどうして遅れるのかと聞いてみたら、
「遅れてなんかいない。
俺はきちんと約束の時間に家を出ている。」と言うことだった。
彼はいつでも時間を守っていたのだ。